「おにーちゃん! ももがありゅよ!」
「おー本当だ! 美味しそうだな」
「ねぇっ! おいししょう!」
満面の笑みで、桃を触ろうとしているミノリを慌てて止めた。
「桃は買うから、触るなら、お家に帰ってからな?」
「はぁ~い」
本当に素直でかわいいな。
どこまでも妹が可愛くて仕方ない俺の顔は、自分でも分かるくらい緩みっ放しだった。
「あい、らっしゃい~!」
店先でじゃれていると、品出しをしていた店主がやって来た。
威勢の良さは相変わらずな八百屋の店主。
「おー! ミノリちゃん」と、言いながら、鉛筆を耳にかけながら、こちらに向かって歩いて来た。
「こんにちはぁ」
「こんにちは。相っ変わらず、か~わいいなぁ」
ニコニコしながら、店主に向けるミノリの瞳は、いつにも増してキラキラして見えた。
なんでか、この店主のことをミノリはお気に入りで、このおっさんも間違いなくミノリを贔屓にしてくれてる。
「あんちゃん、今日は夕飯なににすんだ?」
「まだ考えてないんですけど」
「みぃ、きゅうりたべたい」
「ミノリちゃんは、きゅうりが好きなのか?」
「うん!」

