俺が振り返ると、ミノリは俺から半身乗り出したように、そっちを見た。
恭一は玄関から多少移動していて、ホールの入り口からミノリに向かって手を振っていた。
止めどなく流れる涙を、細い腕で拭いながら、嗚咽混じりに呼吸をしていたミノリは、
「ミノリちゃん、お~~い~でっ」
ミノリを呼んだ恭一のもとへ駆けて行った。
こちらが落ち着いて話せる状況を作ってくれた恭一。
その恭一に感謝しつつ抱っこされていたミノリに手を振った。
そうこうしていたら、「本当にすみません」と、申し訳なさそうなあさみ先生の声。
俺は再び向き直ったが、状況が解らないだけに、苦笑い。
ただ、ハッとした感じのあさみ先生は、「ちょっと待っててください!」と言って、教室へ行ってしまった。
ミノリは玄関先で恭一に肩車をされて、半べそ状態で・・・・・・だけど笑っていた。
それから少しして、ミノリの荷物を持って戻って来たあさみ先生。
右手にはリュック、左手には、ミノリが今日持って行った着替えがあった。
「あの、これなんですけど」
そう切り出されて見せられたのは、あさみ先生が持っていたミノリの服。

