* * *
「ねぇ?和津」
私は、今日。
和津に一生一大のお願いをする。「どうした?」
和津は、繋いだ手を、ギュと握った。
ドキドキする胸はより高鳴りを増した。
「海に・・・。行きたいです・・・。」
私は、下を向いてポソッと呟いた。
和津は、顔を真っ赤にする私を見て、大笑いをする。
「いいよ(笑)今度の日曜日にでも、オヤジからバイク借りてくるよ」
案外さっくり、OKされて私の鼓動はドキドキを止めない。
「いいの?」
昔。首を傾げる姿は、どことなく子猫っぽいと言われた。
「いいよ」
和津は、私の頭をクシャクシャっとして微笑む。
この仕草は和津の照れ隠しで、どことなく、可愛い狼に似てたりもする。
一匹の子猫と、可愛らしい狼は、どこから見ても幸せそうで。
彼らもまた、一生続くと思っていた。
でも、種類の違う動物達の辿る運命は、あまりにも残酷で。