「紫音!」
いきなり名前を呼ばれ、我に帰る。
これが、私の日課。
私は、帰りに教室の窓から見える、蒼空を眺めてから帰る。
でも、ついつい自分の世界に入り込んでしまって、和津に呼ばれる日々。
今日もそう。
「あっ、和津!ちょっと待ってね?」
和津。
蒼空と同じくらい好き。
ずっと見つめていたい。
私達は、1年くらい前に付き合いだした、クラス公認カップル。
「紫音は、のれぇんだよなぁ」
「うるさいなぁ」
和津は口が悪い。
「でも、そこが可愛いんだけどなっ」
なのに、優しい。
そんな和津が大好きだった。
「恥ずかしいじゃん!」
バックに荷物を積めながら私は、和津に叫ぶ。