「和・・・・津?」

‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐‐

私は病院に着き、和津のいると言う、病室に連れられていた。
中央総合病院は、県内でも大きな病院で、病室までの道のりはまるで、私を見下すように長かった。長い髪を揺らす看護師さんに連れられてしばらく歩いた時だった。
306号室の前で、昂が携帯を片手に手すりに座っていた。
昂はこちらを見て、手すりから飛び降り、看護師さんに一礼して私の元へ来る。
「・・・昂?・・・・和・・っ」
私の問いかけは昂の右手により、憚れた。
「入る?」
昂は強い眼で私を見ながら、親指で後ろの病室を指差す。
本当は・・・入りたくない。
でも入らなきゃ。
「うん・・・。」
「来て。」
昂に手を引かれた。

“……がらら…”

一度強く目を瞑る。