「大きくなっちゃって〜…あの頃は理桜くらいだったのにねぇ〜」
「おばちゃん、俺もう178センチもあんだよ?」
「まぁっ、謙斗よりおっきいんじゃない?」
「俺172ー。まさか奏に抜かされるとはねー…ちょっと悔しいかも。」
謙斗がソファの背に体を預けて逆さの状態で奏を眺めている。
のけ反って上を向いている喉仏を叩いてみたい気になったけど、
心優しい私は押さえる程度にしてあげた。
引っ込んだ喉仏、ゲホゲホむせる音は知らんぷり。
「…ごほっ、こら、何する!!」
だって暇だったんだもん。
そう呟けば、謙斗は多少呆れたようにはいはい、と私の頭をぽんぽん叩いた。
さすが兄妹、私がハブられるの嫌いなのよくわかってらっしゃる。
でもさっきのは私を放置するのが悪いんだ、兄貴の分際で。
「ほんっと、素直じゃないんだよなー、誰に似たんだか。」
ゴツン、
響いた鈍い音も、やっぱり知らんぷりした。
