明治屋クラムジー

 

夜が明ける頃、八重は弥一の腕の中にいた。二人で布団に横たえている。
出る肌を隠すように絡んだ弥一の腕が、心地よかった。
 

太陽がでなければ良いのに。
そう思いながら、八重は弥一の肩越しに、明るくなりかけた空を透かす障子を見つめた。
 

 
「弥一さん」
 

「……何だい」
 

「私、文を書きますね」
 

「……」
 

「弥一さんに、沢山文を書きます」
 

 
気が向いたら、弥一さんも書いて欲しいですと、八重は呟いた。
 

きっと書くよ。きっと書く。
君からの文を楽しみにしている。
だから、僕もきっと書くよ。
 

弥一は八重を再び強く抱き締めた。
八重は唇を噛んでいた。
 

それから、夜は明けた。