G線上のアリア《キミを抱きしめたい》

「佐久間だよな?」


目の前から聞こえる男の子の声。

誰だかは分からない。


「ごめん。
誰かな…?」


うつむきながら言う。


「え…。
あ、忘れたか。
えーっと、小野寺だよ。」


「うそ!
小野寺くん!?」


小野寺くんはたった一週間前まで一緒に委員会をしていた男の子。

忘れる方が不自然だ。


「びっくりしたんだよ。
急に学校辞めるし。
一体、どうしたんだよ?」


何も知らないクラスメイト。

私の杖を不思議に思わないのだろうか。