なんかいちいちつっかかるような言い方。
別に私が誰を好きでもいいじゃない!


「お前の魂も美味そうな色してるんだぜ。あいつの代わりにお前の寿命でもいいんだぜ。」

にやりと笑うと塗師君は私を見る。


「え、と……。」


どうしよう。
寿命……とられる!?


「お前、処女だろ。処女の魂は極上なんだよな。」


「ちょっ!?何言って……。」


恥ずかしいのと怖いのとで頭が混乱してきた。
やだもうー。
此処から逃げたい!



塗師君が近づいてくる。
私は反射的に後ずさる。
もう、やだー。
やっぱりこの人、信用できない!


「ぷっ、くくっ。お前、ホントからかいがいがある。」

急に塗師君が笑い出す。
か、からかわれた!?


「なっ!?何笑ってるのよ!」


「もう時間も遅い。家まで送るよ。」


「えっ!?あぁ、うん。ありがと……。」


もう、何がなんだか分からない。
完全に彼のペースに呑まれた。


外を見るともう真っ暗で、一人で歩くのは怖い。
正直、送ってくれるって言葉は嬉しいんだけど不安を隠せない。


だって、一番危険なのは塗師君かもしれないじゃない!


「ほら、行くぞ。」


塗師君の申し出を断ろうかどうしようか思案している間にも、彼はもう靴を履いてドアを開けていた。


もう、一緒に行くしかなさそうね。


「は、はーい。」


私も慌てて後を追いかけた。