「おはよう、美咲。どした?元気ないんじゃない?」

「おはよ……そんな事ないよ。」

ちらりと横を見ると何事もなかったみたいに塗師君は大地と話ししてる。

昨日の事が嘘みたい。

席に座って麻美と会話するも、上の空。



契約って、勢いでしちゃったけどなんだったんだろう?


きっと冗談だよね。



「おはよう!ほら、座れー!!」


いつもと同じ。

先生がチャイムと同時に入ってくる。


ほら、こうやって私の平穏な日常は続くのよ。



隣の席の塗師君はからは何も話し掛けられず、ほっとしたような、どこか残念な気持ちで1日を過ごした。







放課後、私はいつも通りに図書館へ行く。


図書館のドアを開けると、無意識に窓際のあの席を見てしまう。



今日は……居ないのか……。


ちょっと残念な気持ちで、読みかけの本を取りに行く。



「っ!?」


本棚の影に入ったとき、誰かに強く腕を引かれた!


怖くて声が出せない。



「しっ。俺だよ。」


綺麗な顔が間近にあった。
塗師君??



「昨日の契約覚えてるか?」

どきっと心臓がはねる。


「あれ……冗談じゃなかったんだ。」

「当たり前だ。お前には俺様の下部として働いてもらう。」


「しっ……下部!??」



口を手で塞がれる。


「でかい声を出すな!とにかく!詳しい事離してやるから今から家に来い!」



ってか、塗師君。
口調が変わってませんか??


あっけにとられてぼんやりと塗師君を見てたら、彼はすたすたと先に立って歩き出す。


「おい、早く来い!」


「はっ、はいぃ。」



そして何故か、彼の家に行くことになってしまったようだ。