日が沈み始め、辺りが紅く色づき始めた頃だった。


ヨシオは例のトイレの前で、よく工事現場なんかに並んでいるコーンに貼り付けられた藁半紙を強ばった面持ちで見つめていた。


その藁半紙には荒ぶったような汚い字で【立ち入り禁止】、とマーカーペンで書かれている。


あれから結局、担任が事の真相を話してくれる事はなかった。ただ、調査中とだけは言っていたが。


まあ、説明しろと言われても無理な話だろう。


もうグラウンドや体育館などにいた運動部員達の声や足音なども聞こえてこない。きっと殆どの生徒は帰ったはずだ。


ヨシオの周りは静寂だった。入るなら今しかない。


覚悟を決め、コーンの間をすり抜けた。独特のツンとした匂いが鼻を刺激する。


門が閉まる時間も間近に迫っていた為、ヨシオは急いで一つ一つのトイレのドアを開けていった。


そして四番目のドアを開いた瞬間、ヨシオの動きが固まった。