ヨシオの足取りが幾分か軽くなった。
門を抜けると、右手に広いグラウンドが見える。
時間帯も時間帯だけに人の姿は見当たらない。
ヨシオにとってはお馴染みと言っても良い風景だった。
しかし今日はどうだろう。視覚的には別段いつもと比べて変わったところはないのだが、やけに騒がしさが耳に届く。
校舎に近づけば近づく程、その騒がしさは色濃くなっていった。
ヨシオは変な胸騒ぎを覚えながら校内に足を踏み入れた途端、驚いた。
いつもなら、せいぜい一、二人か、はたまた、誰もいないはずの下駄箱付近に溢れんばかりの生徒達がひしめきあっていたのだ。