「ほんと…来なくなったね」
「…うん」
楠元くんは、あれきり
このクラスにやって来なくなった。
…私が言ったことも原因の一つだろうけど…
…楠元くんは今、戦っているのだろう
私に教えてくれた話が、
本当なら。…だけど
「ねぇ、平岡ちゃん。」
教室の自分の席でお昼を食べるのは何回目だろう…
前の席の有希ちゃんと向かい合って、たわいない会話を出来ることが新鮮だった。
「ん?」
「昨日、久々に中学の卒アル開いてみたんだけど…なんか気になることがあって」
有希ちゃんがいきなり真剣な表情になるもんだから、食べる手を一旦止めた。
「…川崎と楠元って陸部だったでしょ?その陸部のほとんどの写真にさぁ、学年が1つ上の女の先輩が写ってるんだよね…」
「…学年が1つ上の先輩?」
「そう。それに、その女…どの写真でも楠元の隣にいるんだよ」