「はぁ~そうゆう所は何も変わってないね」
「俺は何も変わってないよ」
太陽が雲で隠れ、
やっと楠元くんの顔がよく見えた。
「はいはい。ほんと苛つくほど変わってないよ」
「…だろ?」
不意に楠元くんと目が合ったが、すぐさま逸らしてしまった。
なんか…
また、あの時の表情をしていたような気がする
川崎くんの名前を出した時にした表情を…
一瞬だけど、私はそれを見逃さなかった。
「俺、行くわ。本番は応援してやるから」
「見なくていいわ、あほ」
だんだん遠くなる楠元くんの背中を見ながらボォ―っとしてると、
「なにやってんの!ぜんぜん話しかけなかったじゃん」
隣にいた有希ちゃんに肩をど突かれた。
「あはは…言葉が浮かんでこなくてさぁ」
「ったく、何やってんだか」
…楠元くんのあの表情をなんなんだろう
すごく、悲しそうな瞳をして
どこかをじっと見つめてるんだ