「平田さんって、彼氏とかいんの?」




…平岡なんですけどね




「いないよ」




「ぢゃあ俺、狙っちゃおうかな」



名前も覚えてくれないくせに、
よくそう言うセリフが言えるよ




「本気ぢゃないくせに…って思ってるでしょ?」



「べっ別に思ってないよ。そんなこと」





楠元くんは座っていた椅子から立ち上がって、私の目の前に立った




…こんな近くで彼に見つめられたのは初めて



綺麗な顔…
身長何㎝ぐらいあるんだろ




なんて、余裕なこと言ってられない





「…ねぇ、平岡さん…」



「…!?」





急に平岡さんって呼ばれるし、
楠元くんの顔はどんどん近づいてくるし…