…まただ、
また居る。
「…あれ?平田さんだ」
「平田ぢゃなくて平岡です」
くじ引きを引いて、たまたま決まった、この窓際の席…
「平田さん、この席、俺に譲ってよ?」
「謙るもなにも、楠元くんは隣のクラスでしょ?」
「…はぁ、俺って何で5組ぢゃねんだろ―な」
そんなこと知らないよ…
なんて、この男には言えない
彼がなんで、この窓際の席にこだわるのかは誰も知らない
昼休みと放課後、
何か用事がない限り
彼は必ず、この窓際の席に現れる。
何かするってゆう訳でもなくて、ただ窓の外を眺めてて…
その横顔は、どこか寂しそうで
そんな彼を見ているうちに
いつの間にか、私は彼を
目で追うようになっていた。