「仁も貰っちゃったりするんじゃないの~?」



明らかに、
あたしを苛めようとしている視線



「大丈夫だもーん」



と余裕の笑みで返した。



「あれ? 何で?」

「えへへ」



それは、去年にリサーチ済みなのだ。


『毎年、バレンタインチョコって何個くらい貰ってるの?』

って、仁に聞いたら

『2~3個かな。家族とかそんなんだけ』

って答えに正直驚いた。


だって仁なら、
もっと貰ってそうなのに意外じゃない?


『好きじゃない子のん受け取っても、気持ち答えられへんしな』

って、付け足した事に納得してしまったけど。


やっぱり、仁の競争率は高いんだろうなって。


『あたしが渡しても受け取ってくんない?』

そう聞いたらさ?

『綾さんくれるん? 綾さんのやったら絶対貰う♪』

なーんて!


もう、仁ったらぁ~。



「ちょっと、綾乃。キモイから一人でニヤケんのやめてくんない?」



思い出し笑いをしていたあたしの頭を叩き、

現実へと引き戻されてしまった。



「あ、ごめん」



苦笑いを零すあたしに千恵は、



「何だかんだで上手く行ってんじゃない」



と笑って言っていた。