【完】ラブ☆パワー全開




そばにあった携帯に手を伸ばした。


とても大きく聞こえる呼び出し音。

すぐ出てくれた仁が嬉しかったんだ。



《綾さん、何かあった?》




名前を言う前にわかってくれるのが嬉しい。

あたしの名前が登録されてるんだよね。



《大丈夫?》



低くて優しい声も好き。

全体に響く感じが心地良いの。



《綾さん?》

「仁……寂しい」

《……っ》



え……っ?
切られたの?


耳にあてた携帯からはプープープーとしか聞こえない。


我儘だった?
迷惑だった?


あまりの馬鹿さと、体の怠さと、色んなのが混じって……

何だか泣けてきた。



我儘だったかも迷惑だったかもしんないけどさ、
電話切らなくてもいいじゃん。


切らなくても……。