薬も飲んで、
部屋もポカポカしてて、
頭の下には冷たい氷枕、
そして仁の笑顔。
もーう! 至れり尽くせり状態。
なのに……
「ほんなら、俺帰るな? 何かあったら電話してな?」
「え……」
ベットに横になったあたしは、
立ち上がる仁を見て凄く哀しい顔をしてしまった。
それに気付いた仁は、また座り直す。
駄目だよ。
仁に風邪うつしたらどうするのよ!
てか、今頃気付くあたしもどうなの?
元気になってからデートすればいいじゃんね。
うん、そうだよね……。
「ごっ、ごめんね。
うつっちゃ駄目だから……帰ったら手洗いうがいしてね?」
「……帰っていいん?」
え……。
何で……そんな風に言うんだろう?
仁はわかってるの?
あたしが想ってたこと、わかっちゃった?
そんな悪戯な笑顔を浮かべて……セコイよ。

