「なぁ……何、普通に会話してん?」
あ、そうだよね。
こんな、翔さんの話してる場合じゃないよね。
あたしの馬鹿。
「う、うん。あ! ……2回目だ……仁の部屋」
って……また馬鹿やってるよ。
こんな話するんじゃないでしょう!
でも他に思い浮かばないんだもん。
自分から、さっきのことに触れるのは恐過ぎるんだもん。
「あんなとこで話てたら、近所の人に見られるやん」
「あ……そだよね。……ごめんなさい」
そして、また流れる沈黙。
これって、どうしたらいいの。
ねぇ?
どうしたらいい?
立ちっぱなしのあたしは、
座るタイミングすら失っちゃってるし。
部屋で立ってるって変だよね。
「え……っ?」
そう考えてたあたしの手首を急に掴まれ、掠れた声が出る。
手首を掴んでいたのは仁で、
手首から伝わる仁の体温に、
あたしの頬は急激に熱くなった。

