「綾? ……あかん?」
困惑した顔を見ても、
だって。
まだ、何もしてないのに……。
なんて言えるわけがない。
でも、それ以上は拒めなくて。
実は、触れて欲しい。
ただ……少し恥ずかしかっただけ。
いやらしい女って思う?
まだ触ってもないのに。
「綾、好きやで?」
甘い蜜に気付いた仁の言葉に、
心も体も溶けてしまいそうになる。
「ん……あたしも大好き」
それを聞いた仁の顔が、
甘い香りに吸い寄せられるかのように消えた。
あたしの中をかき回し……、どんどんと白くなっていく脳裏。
意識が飛びそうになった瞬間、
「ごめん。俺、余裕ない」
汗ばむ体が合わさり、
仁の首に回した手に力を入れ意識を飛ばさないように耐えた。

