山北さん居るなら……帰りたいなぁ。
そう思ってるうちに他のメンバーは出発してる。
千恵は既に違う部署の男の人と親しげに話してるし。
仕方ない。
取り合えず行って、
他の部署の女の子と喋ってよー。
そう思ったのに。
山北ぁぁぁー、隣歩くなぁぁぁ!
「ねぇ、綾乃ちゃん。今度映画行かない?」
「えー、山北さんなら沢山行く子いるでしょう?」
当たり障りなく断る。
「俺、綾乃ちゃんと行きたいんだけど」
「あはははは……」
何だ、その直球。
「駄目?」
「あー、駄目ですねぇ」
これで誘わないでしょ。
「あ、そうか年下の彼か」
それが何だっていうのよ。
「映画行くってだけでも、ヤキモチ妬くよね。年下って」
馬鹿にした笑いを見せる山北さんに、ムカッとした。
「別に」
仁に妬かれるヤキモチは、嬉しいんだよ?
だけど……何か年下を馬鹿にしてない?
「じゃあ、いいじゃん、ね?」
「あたしが嫌なんで無理です」
フン。
あたしだってハッキリ言うんだからねっ!

