酔った勢いに任せて、
仁の腕に手を絡ませて外に出ると
頬に冷たく刺さる風が火照ったあたしには気持ちが良い。



「仁~♪次、カラオケ行こ!」



縺れた足のせいにして
仁に寄りかかると



「綾さん?」



あたしの頭の上から、
いつもよりもっと低い声が聞こえる。



「ふにゃ?」



多分、怒ってる声だ。

見上げるといつもみたいな優しい笑顔はなく、
険しい表情であたしを見下ろしている。



「また、会計先にしてたやろ」

「あー、うん。大丈夫♪」

「俺出すってんのに」



やっぱり怒ってる。