「仁、詳しくは学校で聞かせてねん」
「詳しい話なんてないっ」
相変わらず、仁は冷たい。
そのままバイクに跨ると
「綾さん、早くメット被って」
そう言われ、慌ててヘルメットを被って後ろに跨る。
「うぉ! 仁がバイクに女乗せてるの初めて見た!」
「コレ貴重だぜ? 写メれって!」
「学校で売れるぞっ」
ギャーギャー騒ぐお友達を睨みながらも
「綾さん、ちゃんと止めなあかんやん」
ヘルメットの顎紐を止めてくれるのは嬉しいんだけど
……その目、本気で恐いんすけど。
「お前等、えぇ加減にしとけよ?」
低い低い声で囁き、バイクは走り出した。
振り返って男の子達に小さく手を振ると、
さっきの威勢のよさは消え男の子達も小さく手を振ってくれた。

