「って、仁の彼女さんって敦の姉ちゃんの友達?」
「へぇ、そうなんだ」
玄関先でわいわいと話す男の子達の中で
「俺も知らなかったんだけど、仁君?」
と敦君が仁の肩に腕を回す。
渋い表情をした仁が、その腕を取りながら
「お前等に言う必要はない」
バッサリ切るも
「綾乃ちゃんやのにぃ~?」
と敦君はニヤニヤしてる。
あたしが何だろ?
「ぶっ! 仁、頑張って隠してたのに……馬鹿だね」
千恵までも、その話へと入り笑ってる。
ちょっと待って。
隠してたって何?
「俺にお礼言って欲しいなぁ。あの合コン1人空き出すの大変だったんだよねぇ」
――ゴンッ
その敦君の言葉に、仁から容赦ない強烈な一発。
そして冷たい目に、冷たい口調で
「黙れ、アホ」
と呟いた。
「いてーな……仁」
殴られた頭を摩りながら、
涙目になる敦君を見つめた。

