「飯食ったし、どーする?」
食事を済まし、
駐車場まで歩きながらする会話で思い出した。
「あ!」
「ん? どうしたん?」
「あたし、後で千恵んとこ行かなきゃ駄目だったんだ。
だから、その……近場でも……いい?」
「また遠慮がちに言うー! 彼女やねんから遠慮すんなって」
あー! もうっ!
何、今のセリフ!
仁てば絶対に、あたしのこと殺す気だよ。
「って、あかんっ!」
「へ? 何が?」
独りの世界にどっぷり浸かってたあたしに、仁の大声。
「だって、それって敦ん家ってことやろ?」
「そりゃーねぇ」
千恵は実家暮らしなわけだから、
弟の敦君の家でもあるよね。
でも何で駄目なんだろ?
「千恵に服を渡すだけなんだけど?」
「そ、それでも、あかん」
弱々しくも、やたら焦る仁。
「どうしたの?」
何でこんなに千恵の家に行こうとするのを止めるんだろ。

