【完】ラブ☆パワー全開




「綾さん」



待ち合わせの場所に到着してすぐかけられた声に振り返ると、

いつも通り優しい笑顔の仁がいた。


キューンって音を立てる胸。


仁の笑顔を見ただけで、
仕事の疲れとか飛んじゃった。


恋は本当に恐ろしい。



あたし専用の淡いピンクのヘルメットで
頭を軽くコツンって叩かれて、我に返った。



「また独りの世界入ってるって」



ニヤって笑う仁に、
恥ずかしさでピンクに染まった頬を隠すように下を向いて謝った。



「ん。いつもの事やから気にしてへんけどな?」



そう言いながら、
ヘルメットを渡す仁から受け取る。



最近は、この時間が1番好き。



あたしのことを分かってくれてるんだなぁ。
って思う瞬間。


仁の跨るバイクの後ろで
これでもかってなくらいに抱きついて。


背中から伝わる温もり。

ふんわり香る甘い香水の匂い。

トクン、トクンって心臓の音。



全てが仁包まれてる時間。