あたし好みのブレスは本当に可愛くて。
嬉しい、本当に嬉しいんだ。
けど
このブランドだよ。
「ね、ねぇ。これ高かったよね?」
両手でブレスを持ちながら聞く。
「ん? 大丈夫。俺バイトしてるし」
「でもっ……」
「最近の高校生は金持ちやねんで」
得意気にみせる笑顔に、
自然とあたしも笑みが零れた。
「何それ」
クスクス笑うあたしに、
「気に入った?」
さっきの得意気な顔とは違い、
また不安そうな顔。
「もっちろん!」
その顔をかき消すように、
あたしが満面の笑みで答えると仁はホッとした表情をして笑った。

