【完】ラブ☆パワー全開




もー、仁と居るのに何考えてんだ、あたし!

頭の中をリセットして、受け取ったヘルメットを被ろうとした時。



「あと、これも」



そう言って差し出された小さな箱。


それをキョトンとした表情で見つめていると



「綾さーん?」



仁の不思議そうに呼ぶ声。


見上げると、首を傾げ



「今日、ホワイトデーなんすけど」



と苦笑い。



あ!
そうだった。



「ごめんっ」



すっかり忘れていたあたしは、慌てて受け取った。



「何? 俺がお返しなしとか思ってたん?」



ちょっと拗ねた仁に首を振りながら



「違う、違う!」



変に大きくなってしまった声。



「はは、わかってるよ」



一体、仁はどこまであたしがわかってるんだろう。

本当に仁はエスパーかもしんない。