【完】ラブ☆パワー全開




「どうしたん?」



仁があたしの顔を覗き込み、不思議そうに見つめた。



「ううん! 何でもないよ!」



あー……。

こんなちょっとしたことが聞けないのって、やっぱり駄目だよね。


さっき喋ってた子?
とか軽いノリで聞けばいいだけのことなのにさ。


“お返し”って言ってたよね、あの子。

それって……もしかして“れいこ”って子なのかな。

腐れ縁っていってるのにバイトも同じにするかな。



あー、駄目駄目!

頭の中に浮かぶ小さな疑問が少し大きくなって、あたしは頭を軽く振った。


山北さんと千恵が変なこと言うから悪いんだっ。


意味深なかじゃない。
カモフラージュなんだ。


プラス思考に考えるけど、
どうしても山北さんと千恵の言葉が脳裏をかすめる。



「綾さん」

「へ?」



気付けばバイクの前に立っていた仁は、
あたしに淡いピンクのヘルメットを差し出した。



「どうしたん? やっぱ何かあった?」



少し心配そうにする仁から、
ヘルメットを受け取ると、
おもいっきり首を横に振る。