見間違えるはずない、歩だ
その瞬間歩と目が合う
たった数秒のその間がどきどきして
思わず目を反らしてしまった
どうしよう、気まずいよ
さっきのこともあって
何を言ったらいいか分からなかった
でも歩は何も言わずに近付いて来て
すぐに足を止めた
「なんで…お前がいるんだよ」
それは私に向けられたものではなく
すぐ近くにいる橋野先輩に向かっていた
「だってここは生徒会室だろ?」
先輩らしくない少し挑発的な言葉
さっきまでの先輩とは
雰囲気が違って背筋が自然とまっすぐになる
ふたりは黙ったまま…
すると橋野先輩が俯きながら
ふっと笑った
「ははっ…そんな恐い顔するなよ」
そして手元の資料を軽く上げると
ひらひらと揺らした

