すきって言わせて




ふわりと風が窓から入ってきて
歩の茶色がかった髪をくすぐる

「え…?」


その姿に何故か目が止まってしまった

薄暗い資料室の中に入る光が
淡く見えたからかな…



「こんなのただの口実に決まってんじゃん」


歩の声が響く


「あ、歩…」


なんでだろう

なんで歩の言葉に、仕草に、
目が離せなくなってるんだろう


差し出したプリントが
手からするりと落ちて風に舞った



そして…


歩の手が私の制服まで伸びてきて

とんっと襟元を触った