すきって言わせて




ぱたぱたと私と歩の足音が妙に響いて
廊下にいる他の生徒たちの声とか
足音をかき消すみたいに

ふたつの足音だけが聞こえる気がした


強引な歩にいつもはうっとうしくて
逃げてばかりだったのに

何故か今はそんなことこれっぽっちも感じなくて

変わりに胸の奥でふわっとした
暖かいものが広がっているような…



私、変だよ



突き飛ばしたり逃げ回ったりしてたのに
なんで今は素直に付いて行ってるんだろう



「…あ、歩!」


走る歩を止めたくて
私は歩に握られた腕をぐいっと引っ張った