市街地から徒歩で十分ほど。
道路脇に住宅が目立ち始めた頃、目的の建物が目に入ってくる。


普通の一軒家のような佇まい。
でも、背の高いドアがそこが住宅でないことを物語っている。


ここに来るのは、彼女と別れたとき以来だ。


正直、まだ思い出すのは辛いものがある。
結論を出したのは俺なのに。


だが……、それが正しかったのかは、いまだに分からないままだ。


大きく息を吐き出すと、白い塊が上に昇る。
追って目を向けると、星空のはずの上空が白く霞んで見えた。