【短編】失った温もり

床だけしか映らない視界に、スッと影が伸びる。


「お父さん大丈夫?」


心配そうな声。
声の主が覗き込むようにかがんだ。


その手には水の入ったコップ。


「はい」


差し出される救いの手。


顔を上げると、自分が辛いかのように顔を歪ませる娘がいた。


今年中学に入ったばかりの娘の真奈美。


その顔は年々別れた妻にそっくりになっていく。