希望も見えないまま、燎は模範囚として刑期を短縮され、出所を迎えた。

殺人の罪の割に刑期が短かったのは、冤罪とは言え、無抵抗で連行された事、罪状を全て認めた事。前科が皆無な事、叔父が、官房長官だった事(これが一番だろう)などが考慮された為だ。

当然、世間からのクレームの嵐は凄まじいものだったらしい。

燎は、まだ寒さの残る三月の空の下を、少し肩を丸めて歩いた。