カタッ……
カタカタカタッ……

身体が戦なく。

深紅の液体が顎を伝う。
唇を強く噛み過ぎた為だ。

悔しさ、怨み、憎しみ、悲しみ………様々な想いが、瞳の色までも”絳(あか)“に染め上げる。

赤城燎(あかぎ りょう)。22歳。服役中。但し、濡れ衣だが。

父親が目の前で何者かに殺された。
一瞬だった。
異形の姿をした、少なくとも人間ではない何か。

だがそれを言っても、誰も信じてはくれなかった。それどころか、状況証拠から、自分が犯人にされてしまった。

冤枉(えんおう)。無実の罪。濡れ衣。

明日無き明日に怨讐誓い、燎は心の中で、血の混じった叫び声を上げた…。