「アホ。何、本気にしてるん?」 「えっ?」 くるりと、声の方を振り向くと、唇に触れる柔らかい感触。 温かくて、優しくて。 夏の日だまりみたいなキスだった。 「…俺が、忘れたと、本気で思うてるん?」 唇を離した蒼空は、そうしてあの日と変わらない笑顔で笑った。 「蒼、空…っ」 「約束どおり、来たで。千夏。」 「蒼空っ!バカ、バカバカ!」 白い雲が漂う蒼空は、今日も青かった…―――。 Fin.