見間違えるはずはなかった。





ずっと、待ってたから。






その姿も、声も、匂いも体温も。






忘れたときは、片時もなかった。








「蒼空…だよね?」







「え…っ?」







思わずあたしが駆け寄って、腕を引くと、目の前の蒼空は驚いたように目を見開いて固まった。






そして。






「誰…?」







「え…っ?」







思いもよらない言葉に、憔悴したのはあたしの方だった。







…今、誰?って言われた…







あたしのこと、覚えてない…?






ずきっ、と痛むのは心臓?それとも、心?





そんなこともわからないくらい、ひどく痛む胸。







そんな痛みをこらえて、あたしは顔を上げて微笑んだ。







「あ…ごめんなさい。人違い、でした。」






そうして、くるりと踵を返す。






そうだよね、覚えてるわけないよね…。






会ったのは、たったの1日で。





それも去年の夏の話。






覚えてるわけ、な…っ






ぎゅっ、とつぶった目から涙がこぼれ落ちた。








その時だった。