「…あっーつー!」




ジリジリと肌を焼く陽射しの中、あたしは蒼空(そら)を見上げた。





嫌味なくらい青い蒼空。





さらに嫌味なくらい白くて大きな入道雲。





そして一番嫌味な、あっつい太陽。





「…あの入道雲が全部ソフトクリームならよかったのに。」





「バカ。お腹壊すよ」





暑い陽射しとは真逆の冷たい返答が返ってきて、あたしは苦笑した。





「舞桜(マオ)ちゃん、冷たーい」




「はいはい。」





この子は、親友の舞桜。




暑くてもキリッとしまった目元に、さらっさらの長い黒髪の美人だ。





舞桜と出会ったのは、高校の入学式。






裏庭にある垂れ桜の下にいた舞桜を見たのがきっかけだった。





舞桜の名の通り、風に舞い散る垂れ桜の中にいた舞桜。





どこか寂しげな彼女を、すごく綺麗だと思った。






気がついたらあたしは舞桜に話しかけていた。






最初は、やっぱりウザがられた。





けどどうしても友達になりたくて、毎日毎日一生懸命話しかけた。