ナギサと出会ってから二度目の夏が過ぎた。

俺は予備校にいる。
本格的に進路に焦り始めた。
ナギサは良い。
品行方正。
成績優秀。
推薦なら相当良いところに入れるだろ。

俺は違う。
いつだったか先生方からいただいたお休みのおかげで推薦なんて縁のない話。
まぁそれがなくても遅刻欠席俺多過ぎなんだけど。

最近ナギサとは会ってない。
電話を週イチでするくらい。
ナギサも色々あるみたいで最近は学校もよく休んでるらしい。
あのコンビニにもしばらく行ってない。
そりゃ行きたいさ。
ナギサに会いたい。
でも今は自分のコトでいっぱいいっぱいなんだ。
何かを得るために何かを犠牲にしなきゃいけないってホントだ。

ナギサに電話。
眠そうだ。

ナギサが珍しく俺のコトを聞きたがった。
生い立ちから今まで。
これと言って特別な人生ではないんだけど。

親父の話をした。
俺の親父は俺が14の時ガンで死んだ。
タバコも酒もやらず、厳しくて頑固でバイクが好きだった親父はガンという病気で死んだ。
ちなみに俺はそれ以来泣くことを忘れた。