『ねぇ、エビ好き?』

ちょっと待て。
初めて彼女が俺に質問したまではいい。
でもエビが好きかどうかってなんだ?
もっとあるだろ。
誕生日とか血液型とか。

エビ?
いやめっちゃ好きではないけど別に嫌いではない。

『あのね、アタシ大嫌いなの。』

彼女はエビが嫌いな理由を詳細に話してくれた。
小さい頃になんとかレンジャーとかいう子供向け番組を見た後眠ったら、夢の中で怪人エビアンというに二足歩行のエビに殺されかけたらしい。
それ以来エビがどうしてもダメなんだとか。

『でもねエビの顔は好き♪かわいくない?』

うんもう好きにしたらいいと思う。
てかエビアンって水。

すっかり辺りは暗くなりまた彼女を荷台に乗せて駅まで。

『またね♪』

改札越しの彼女はまた無邪気に微笑む。
彼女の名前はナギサ。
いつか名前で呼べる日がくるかな。