リビングに通されると…
「ジュリアちゃん、何か飲む?」
「じゃあ、お水いただけますか?」
「わかったわ♪パパは?」
「お茶でいいや。」
「はーい!!待ってて♪」
そう言って紗季さんはキッチンに向かった。
「ジュリアちゃん。これからするのは
すごく大事なことだ。どうか落ち着いて
聞いてほしい。」
「はい…」
おじさん、いや、先生がこんなに真剣なのは
めったにないこと。自然と緊張してくる。
「10才の夏に…長くは生きられないって
話をしたのは覚えるよね?」
忘れるワケがない。
「はい。一度も忘れてたことなんて
ないです。」
「そうか…なら、今ここで言おう。」
「ジュリアちゃん…君は心臓移植をしない限り
20才まで生きられるかどうかだ。」
おじさんはつらそうな表情で言った。
「20才…あと4年かぁ…」
あたしは想像した。4年後の自分を。
「だだし。」
おじさんが言う。
「今のままでなにもしなかったらだからね?」
「…移植しかないんですか?」
あたしは聞いてみた。移植以外にも
何か治療があるはず。そう信じて。
「治療法がないわけではない。」
