雨は相変わらずシトシト降っている。



「…ここじゃ、冷えるしよかったら俺の家で話し聞かせてくれない?」



そう俺が言うと彼女は首を横に振った。



「その様子じゃ…行く場所ないんだろ?俺の家すぐ近くだから…温かい飲み物くらいご馳走するよ…」



俺は彼女の顔を覗き込みながら優しく言った。



そう言うと彼女は静かに頷くと、俺の上着を強く握り締めた。



俺は立ち上がり彼女の脇にあるボストンバッグを持つと彼女もゆっくり立ち上がる。



傘を開き彼女に傘をかけると『…すみません』と申し訳なさそうに俺を見ると俺は『行こうか』とゆっくり歩きだした。