そんなもどかしさが 私にも彼にもあった。 もう一度、と目で促され 鍵盤に手をそっと置いた。 曲は“メヌエット”。 有名なピアノ曲でも 比較的易しいと 柊荘司は言う。 確かに楽譜は泣けるほど スペースが多い。