隙間時間での
レッスンの合間に、
菜野花は柊荘司に
直球で訊ねてみた。


彼は楽譜に向かっていて、



「……ん?
──手袋かな。
手、冷えるし、
ピアノ弾くし」



ようやく、それだけ言った。