「ただいまぁ…」



母はまだ
レッスン室でピアノを
教えているのだろう。


今日は確か、
小二の男子が
受けているはずだった。


迎えてくれる人はいない。



「なっちゃん?
お帰り」



母親が
ひょっこり顔を出す。