いつもの唯くんじゃない。 寂しそうな、 怒ったような顔をして、 私を見ている。 うまく見つめ返すことも、 目をそらすことも出来ずに 私は目をキョロキョロ動かすだけ。 「悟は、やめて」 たたみかけるように言葉を紡ぐ唯くん。 「あいつを好きになっても 茉莉子が苦しむだけだから。 だから、悟を好きには…」 「唯くん! なぁに言ってんの?」 明るく笑った私。 「なんで、 そんなこと急に……」 好きになるわけないじゃん。 好きになんて、 なるわけ…。 あんな、遊び人なんて……。