本当にそれだけで…。 「ぅわっ!!」 急に体が傾いた。 「ぅわってなんだよ。 色気ねぇな。」 聞こえた声に目を見開く。 「っあ、あんた!! なにやって…」 振り向くと、 相変わらず不機嫌な顔で突っ立っている高嶺悟。 「あんたって誰に向かって言ってんだよ。」 頭を小突かれて少し睨む。 「な、なによ…。」 反抗的に睨んだつもりだったのに、高嶺悟は視線をそらすどころか、 むしろ真っ直ぐ私を見てくる。