「誕生日?」 彼が眉間にシワを寄せて唯くんをにらんだ。 「そう。 茉莉子の、16回目のお誕生日」 「ふーん」 久々に聞いた、 この間の抜けた返事。 「じゃ、俺帰るわ」 いきなり振り返って帰ろうとする彼。 嘘っ、ちょっと待って… 目を見開いて手を伸ばす。 …でも。 ダメだ。 ただの憧れなんだもん。 手をのばしたりしちゃダメ。